寝酒って本当はいいのか?悪いのか?
仕事が終わり、日々のストレスや疲れを感じた状態で飲むお酒は気持ちが紛れて最高ですよね。お酒は「百薬の長」と言われており、昔から人間にとってなじみ深いものでした。今現在毎日必ずお酒を飲む人も多いと思います。
寝酒って?晩酌との違い
寝つきが悪い場合お酒の力を借りて眠る寝酒、睡眠薬の代わりに行っている人も多いですが本当のところ寝酒はいいのか悪いのか気になったことはありませんか?お酒を飲むタイミングは人それぞれですが大体は晩御飯の時に飲む場合が多く、これを晩酌といいます。そのまま眠ることも多いと思いますがそれでは寝つきが悪く、寝る直前までお酒を飲む。これが寝酒です。
寝酒文化というのは世界的に広まっていて、英語圏では寝酒のことをナイトキャップと言います。やはり薬に頼るのは良くないと思うしお酒のほうが安全じゃないのか、寝酒に飲むお酒は何がいいのかなど正解が分かりにくい寝酒。摂取方法等を間違えると逆に睡眠の質を落としてしまうことになります。
寝酒はよくないというのもよく聞きますし本当のところはどうなのでしょうか?正しくアルコールを摂取し普段蓄積されているストレスを解消しながら良質な睡眠をとりましょう。
お酒を飲むと眠くなるのは本当?
なぜお酒を飲むとぐっすり眠れると感じるのか。お酒にはアルコールが含まれており、日本では1%以上アルコールを含むものはすべてお酒に認定されます。アルコールは体に入ると全身を巡って脳にたどり着きます。お酒に含まれるアルコールは、抑制機能があり体全体に制限をかける力を持っています。
脳や体がアルコールにより制限された状態になり体が麻痺し、酔っているという感覚になります。アルコールは脳に回ったときセルトニンを分泌しそれにより脳がリラックス状態になります。脳がリラックス状態になると脳の活動が緩やかになり眠気が現れます。
※セルトニン・・・「幸せのホルモン」と呼ばれ、不安や緊張を和らげる効果がある。このセルトニンの数値が少なかったりすると感情がコントロールできずうつ病になったりする場合がある。直接摂取できる食べ物はないが抑制させるものは他にもある。
こう聞くとアルコールっていいことばかりじゃないの?と思いますがあくまで脳を麻痺させて得てる感覚なので継続的なものではないんです。また、お酒が入っているときはストレスを忘れ楽しい気分にはなりますが一時的なものです。
日本では未成年の飲酒は法律で禁止されていますよね。それは成長中に脳に強いダメージを与えてしまい脳の萎縮につながる恐れがあるからです。それほど強力な力を持っているアルコール、リラックスするしセルトニンが出るなら飲んでも問題ないと考えてはいけません。あくまで日常の中でストレスなどを一時的に緩和するためと考えましょう。
飲むお酒はなんでもいいの?
アルコールを飲んで脳がリラックス状態だと催眠効果は得られますが正常な意識状態で眠っているわけではないので体調不良や脱水症状に気づかないまま眠っているなんてこともあります。あくまでもほろ酔い程度で意識がはっきりしている状態が一番良いです。
ではどのようなお酒をどれくらい飲むのがいいのでしょうか。今寝る前に飲んでいるお酒は本当にいいのでしょうか?お酒ならなんでもいいなんて言うのは不正解です。寝酒と言われるのはほろ酔い程度。
アルコール度数の低いビール、酎ハイ等の発泡酒は酔いを感じるのが遅いと感じませんか?そのため、まだ酔ってないと感じてしまい飲む量がどんどん増えてしまいます。お酒は体内に入ってから体全体に回るのに大体30分から1時間かかると言われています。ほろ酔い程度でいいのに体内に回る前に量を飲んでしまってほろ酔いでおさまらなかったら意味がありません。
自分自身が酔いをすぐ感じることが大切だといえます。そこで寝酒に使用するお酒はアルコール度数が高いものにしましょう。度数が高いものだと飲んだ瞬間にアルコールの匂いやきつさでビールなどのお酒よりも量が抑えられます。ウイスキーやブランデーなどを小さいコップに少量を寝る1時間くらいに飲みましょう。度数が高いお酒なのでこれも飲みすぎは要注意です。
晩酌をする場合飲む量は人それぞれですが、もし晩酌をしてからすぐ眠りにつく生活の場合、量は制限したほうがいいです。晩酌をする場合就寝する3時間前までに済ませるといいと言われています。これは体内に取り込まれたアルコールが分解されるまでに3時間ほどかかるからと言われているからです。
どうしても強いお酒が飲めなくてこの方法を試すのが難しい場合は寝酒ではなく晩酌をしてアルコールが体から抜けた状態で睡眠に入りましょう。この場合も飲みすぎには気を付けましょう。
あまり飲みすぎてしまうとアルコールを分解するのに時間がかかってしまい眠るころに脳が覚醒してしまい、眠れなくなってしまいます。翌日にお酒が残ったままで睡眠時間も少なくなってしまうのは嫌ですよね。
たくさん飲むのは悪いのか?
強いお酒も大好きだし、そんな少量じゃ酔えない。寝酒じゃない思うかもしれません。しかし自分が泥酔状態まで飲んでしまい意識を失うように寝てしまっている状態は快眠状態とは言えません。
そもそもなぜお酒を飲むとぐっすり眠れるのか。これはレム睡眠とノンレム睡眠が関係しています。普段の状態で眠りにつくとレム睡眠ノンレム睡眠を繰り返し、徐々に両方の睡眠が浅くなり目が覚めます。アルコールを飲んだ状態で眠るとアルコールの血中濃度が高く、脳が休むノンレム睡眠に入ります。
寝る瞬間からノンレム睡眠に入るのでぐっすり眠れた気分になります。しかし眠りについた後アルコールの血中濃度は急激に下がりそれにより覚醒作用というものが働きます。
脳が常に覚醒した状態になるのでノンレム睡眠が減り、脳が休めないレム睡眠が増え結果的には寝覚めは最悪のものになります。あくまでも急激にアルコールの血中濃度を高めるのではなく脳や体をリラックスさせるために少量のお酒にしましょう。
寝酒を正しく理解しよう
寝つきが悪い場合に行う寝酒、昔から世界的なものでたくさんの人が行ってきたものです。
- アルコールが体や脳を抑制し、それにより麻痺し酔いを感じる
- 脳内でセルトニンが分泌されされによりリラックス状態になり眠気が現れる
しかしお酒を飲みすぎてしまうと催眠効果があっても良質な睡眠をとることはできません。
- ビール等のアルコール度数を感じにくく無意識に量を飲んでしまうためNG
- ブランデーやウイスキーなどの度数が強いお酒を少量飲むのが良い
- あくまでほろ酔い程度でおさえる
人間の体はどんなことにもなれるようになっています。最初のうちは少量でも睡眠はとれるかもしれませんが体が慣れると少量では眠気が現れなくなるでしょう。そこで飲むお酒を増やしてしまうのは絶対にダメです。
その量にも慣れてしまってどんどん飲む量が増えてしまいアルコール依存症になってしまう危険性があります。アルコール依存症になってしまったら身体的や精神的にも不安定になり自分だけではなく周りに迷惑をかけてしまう可能性もあります。
どうしても何かに頼らないと寝られない場合は睡眠外来に行きましょう。内科や精神科に行っても睡眠についての診断は受けられます。アルコール中毒や睡眠障害になる前にアドバイスをもらいに行きましょう。
大量のお酒を摂取して意識を失うように眠りにつくよりしっかり体に合った睡眠薬を1錠飲むほうがいいという結果も出ています。しかし寝酒が良くないからと言って自分で睡眠薬を購入するのもやめましょう。
相性が悪かったり飲み方を間違えると死に至る場合もあります。睡眠薬をお酒で飲むのも危険です。睡眠は人間にとって大切な時間でなくせない存在です。良質な睡眠をとるためにも過度な寝酒は控えましょう。